2013年7月31日水曜日

うまく生きるのではなく,思いっきり生きる

先日参加した會津藩校日新館 「臨床研究デザイン塾」で,
斉藤先生から良い話を聞きました.

斉藤先生は,50歳をすぎてから,院長職を退職してアメリカに臨床留学をするという
すごい決断をされたそうです.

そのような波瀾万丈な人生を振り返って,
「うまく生きるのではなく,思いっきり生きる」
のが人生の本質だ.
と教えてくださいました.

うまく生きるというのは,
「こういう仕事を続けたら,将来こうなるだろう」
という事を考えながらキャリアを積み重ねて行く方法.

でも,
「自分が思っているより,世の中の変化は早い.
たいていの事は思ったとおりにすすまない.」と.

そんな時代の中で,個人ができる事というのは,
「その時その時に,自分がやりたい事をして,思い切って生きることだけだ.」
とおっしゃられました.

これって,先日紹介した,
Steve Jobsの"Connecting the dots"と本質的には同じ話ですね.

以前,聞いた話で,
「時代が激変する時に,動きをとめるのではなく,
常に変化を続けること.コマのように高速回転することで安定する」

ついつい,環境の変化に驚いて,動きをとめて,考えてしまう事がありますが,
実は,動き続ける(回転し続けるコマのように)が,
激動の時代には最も安定している.

勉強になりました.


2013年7月28日日曜日

會津藩校日新館 「臨床研究デザイン塾」

會津藩校日新館 「臨床研究デザイン塾」 に参加しました。in 福島

福原俊一先生主催の塾で、ご存じの方も多いと思います。
今回、福島で開催される本塾は、第1回目の開催とのこと。
(詳細は、認定NPO法人iHopeのサイトをご覧ください!)

感想 ものすごくためになりました。(まじで。)

以前紹介した福原先生の著書である
臨床研究の道標(みちしるべ)―7つのステップで学ぶ研究デザイン
をもとにした塾です。


この本、医者になった人全員に配布してもよいと思えるほど内容が洗練されてます。

一言でいうと、
「データを集め始める前に、まず、研究のデザインを作らないとだめよ。」
てこと。

本音を言うと、
「10年前に知っておきたかったなあ(涙目)」と思いました。

この手法(研究デザインの作り方)を知らないというのは、
「標準の定まらないピストルで、的を撃ちぬこうと努力する」
のと同じことなのです。

的に当たる=論文がAcceptされることだとしましょう。

ある人は、
「とにかく、たくさん弾をピストルにこめて、撃ちまくる」(私ですね。笑)
別の人は、
「強力な火薬を使用する」
などのアプローチをとるでしょう。

でも、結局、
「弾がピストルの銃口から正確に発射される」
という条件が満たされないと、論文がAcceptされる確率は
一向に改善しないのです。

たちが悪いことに、標準の定まらないピストル(デザインに不備のある研究)であっても、
時に、的にあたってしまう(一流誌にAcceptされてしまう)。
それが成功体験になってしまい、
「間違った方法に、しがみついてしまう。」可能性があるんですね。

さらに、この臨床研究デザイン塾で教えてもらった内容は、私の中では、
「医学部を卒業してから、自分で勉強してきた論文の書き方の中では、
まさにイノベーション的な位置付け」といえます。

イノベーションというのは、
「それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す」Wikipediaより

「研究のデザインを作る」というアプローチの仕方を知っているのと知らないのは大違い。

イノベーションのたとえとして、
「馬車を10台連結しても、車にはならない。」
というたとえがあります。

「研究をデザインする」という手法をしった上で論文を書く(車)
知らずに、論文を書く(馬車)

特に、論文を指導する立場にある人は、知らず知らずのうちに、後輩に
「馬車が1台だから遅いんだよ。10台の馬車を連結したら早く走れるでしょ!」
と指導しているのかもしれません。

でも、指導すべきは、
「最近は車を使うほうがいいみたいよ。」
というアドバイス。

今回、馬車に乗って、福島に行った私は、そこに
「車っていう便利なものがあるんだね」
ということをしりました(笑)。

てことで、今後も、臨床研究デザイン塾には、注目していきたいと思います。

2013年7月21日日曜日

英語論文を読む習慣

習慣として,自分の専門領域の英語論文を読むことは重要ですね.

英語論文を読む努力をする.
というのは,なかなか成功しません.

それよりも
英語論文を読む習慣をいかにつくるか?
が重要だと思います.

良いことであれ,悪いことであれ,
習慣というのは,意識せずに毎日行なっていること.
(夜ビールを飲むというのも習慣ですね.)
意識せずにできるレベルにもっていく必要があります.

僕の場合,火曜日と木曜日の朝のカンファレンスで英語論文(SPINE)に目を通す
ことを習慣化するためにいろいろ工夫をしました.

1)論文はPCでは読みにくい.iPadがベター.
2)SPINEは,最新号がでたら,Dropboxにダウンロードしておく.
大学のインターネットからダウンロードできますし,AO SPINEの会員になれば,年会費を支払うことで,SPINEを自由にダウンロードできます.
もちろん,iPadアプリからSPINEを有料でダウンロードしてもOK(ちょっと高いですけどね.)
3)iPadは,無線LAN環境下で使用.
カンファレンス室に無線LAN環境があれば,ベターですが,
他にも
ポータブルWifiを持ち歩く
iPhone 5でテザリングする
といった方法が考えられます.

2),3)さえクリアすれば,iPadをカンファレンスにもちこむだけで,さくさく論文がよめちゃいます.

努力ではなく,なまけものでも続けられる仕組みづくりが大切ですね.

2013年7月15日月曜日

Steve Jobs: connecting the dots

渡米後も,英語のリスニングは続けております.
先日,Stanfordを訪問した際に,JOA fellowのメンバーから,
「Stanford大学のJobsの講演は,良かったね.」
と言われた事を思い出し,YouTubeでチェックしてみました.

有名なconnecting the dots(点と点をつなぐ)を聞いて,あらためて感動しました.

スピーチより
先を読んで,点と点をつなぐことはできない.
点と点がつながっていたことは,後になってわかる.

点と点が将来,どこかでつながると信じなければならない.
皆の通る道から外れる道であったとしても,自分の心に従って進むべき.

感想
私たちは,「将来こうありたい,こうあるべき.」
という考えに基づいて,行動します.
でも,Jobsが言うように,先を読んで,点と点をつなぐことはできません.
その場その場で,自分の心の声に耳をかたむけて,
自分の心が望む事を,着実に行って行けば,
後から振り返った時に,点と点は確実につながっている.

出世するために,これとこれをすれば,大丈夫だな.
という考えは,必ずしも良い方法ではないのかもしれません.

2013年7月7日日曜日

iPadを使用したアンケート

先日,アメリカに行った時に,同期の先生方と話をした時に
意外と興味をもっていただけた話題として
以前からとりくんでいた
「iPadを使用したアンケート」

「クラウド型のデータベース」
の話題がありました.

夏休みに,側弯症の患者さんがたくさん病院を訪問するので,
それまでに,なんとかiPadを使用して,アンケートを蓄積する
システムを確立したいと.

ということで,昨日ビックカメラにiPadを2台買いに行きました.
外来で使用する際,落としてしまう可能性も考えて,
頑丈なケースも購入


アメリカに研修に行く前に,外来でiPadのアンケートをしてみて
意外に多かったのが,
「ご高齢の患者さんは,指でチェックボタンを押すのが難しい」
「文字がかなり大きくないと読めない」
など.
指の先端で,チェックリストを選択するという行為が,はじめてiPadを使用する患者さんにとっては難しい.というのは意外でした.

ということで,iPadに使用できるスタイラスペンも購入.

後は,使い方のマニュアルを作れば,なんとか運用ができそうな感じです.

レイヤー化する世界を読みました

レイヤー化する世界(佐々木俊尚著)を読みました.

↑書籍

↑電子書籍(値段が安いです.)

 非常に良く書かれた本でした. 
戦後の日本の構造は 「組織」という箱の中に,「個人」が入っている構造
 医師でいうなら, 「医局」あるいは「病院」という箱の中で「個人」が働いている. 

こういった構造が,今後新しい形に変化していくそうです.

個人は, 「たくさんのレイヤーがかさなりあってできた一つの集合体」 として成り立っており,今後はどんどん加速すると. 

私自身のことで考えてみると
医局に属しているけど,Facebook上には,同年代の整形外科医の集まりがあり,盛り上がっている.
 とか
 NPO法人の活動として,企業や個人と仕事をする機会が増えた. など.

 つまり今の自分は
整形外科医
大学で働く医師
学生の教育担当医師
ブロガー
英語に興味を持つ人
NPO法人の一員
Facebookの中でのキャラ

といった感じのレイヤーが積み重なってできた人物 といえるのですね.
レイヤーは,地層やミルフィーユにたとえてみたらわかりやすいです.

さらに,これらのレイヤーは同じ大きさではなく,日々の生活の中で,
大きくなったり小さくなったりします.

ですから
職場での不満や人間関係の不満
といったもので悩んでいる人がいたら,自分の中にある,他のレイヤーに
注目してみるのも良いかもしれません.

昔であれば,職場という箱の中にある個人.
というポジションしかありませんでしたが,これからの時代は,
いくつものレイヤーを自分でつくり,広げていくことができるのです.

英語についてあらためて考えてみました

4週間のアメリカ訪問を終えて,月曜日から通常業務に復帰しました.
体重がなんと4kgも増加しており,完全に元の体型に戻るにどれくらいかかるのでしょうか(笑)

アメリカを訪問して,自分が今,どれくらい英語が話せるのか?
実際に体感することができました.

現地のドクターと英語を話すor聞くシーンとして

聞く
アメリカ人が話す整形外科のトークを聞く(1対1)
整形外科以外の医学的な話題を聞く
プライベートな話題を聞く
アメリカ人同志がプライベートな話題を話しているのを隣で聞く

おおざっぱにいえば,下に行くほど難易度が高いことがわかりました.
まず,下に行くほど,「知らない単語が増える」「初めて聞く話題が増える」.
話題のバックグラウンドを共有しているというのは,会話で大切な事です.

現地の空港にあったファーストフードのお店で,店員さんから英語で
「どのパンを選ぶの?」「ソースは?」「サイドメニューは何にするの?」
と聞かれましたが,全く何をいっているのか?なんと返事すればいいのか?わかりませんでした.
でも,私の次にならんでいたアメリカ人のおじさんも,回答できず,結局奥さんを呼んで答えてもらっていました(笑).
つまり,これは,ファーストフードの店でオーダーに必要な事.
というバックグラウンドが理解できていないことが原因なんですね.

英語を話す事
については,口演であれば英語のスライドに文章や単語をある程度挿入しておくことで,ジャパニーズ・イングリッシュでもある程度理解してもらえます.
でも,Appleの発音は,「アップル」ではありませんから,
なかなか現地の人に,違和感無く聴きとってもらえるような発音は難しいですね.

現地で,4週間英語漬けになって,正直
「今まで何年も英会話の勉強してきたけど,全然ダメだったな.」
とへこんでしまう日々でした.

ですが,自分自身の10年前と比較すると,格段に進歩しているんだ.
と割りきって,他人との比較をやめたら,結構気が楽になりました.

現地のアメリカ人ドクター数名から言われて驚いたのが,
「なんで,君たちはそんなに英語が話せるんだ?」
という内容.
こちらとしたら,
「全然話せていないと思うのですが...」と感じていたので意外でした.

しかし,お世辞として言っているのではなく,本当に不思議そうに質問されました.
60歳を過ぎたベテランのドクターは,
「自分は昔日本語の勉強を頑張った時期があったが,全然しゃべれるようにならなかった.英語と日本語は発音が全く異なる.だから,君たちを見ていると,どうして英語が話せるのか不思議に思うんだ.」
と言われました.
また,別のドクター(自転車競技の話題について盛り上がった)からは,
「それだけ英語が喋れたら,十分だと思うよ.」と.

日本人にとって,英語を話す,聞く,書くというのは,本当に難しい課題です.
でも,いきなり10をめざすのではなく,1を2にして,2を3にして.
という風に少しずつ前進していく.

上をみたらきりが無いですが,3ヵ月,半年,1年,10年という期間で
英語が少しずつ上達していけばいいなあと思います.