2018年8月5日日曜日

世の中からブラックな職場をなくすことはできない.

世の中から,「ブラックな職場」がなくなることは,理論的にありえません.

会社(勤務医の場合病院)の収益が少なく,人件費に充てられるお金が少ない場合
・労働者には,同じ給料で,できるだけ長時間働いてもらいたい
・同じ勤務内容ならできるだけ安く働いてもらいたい
・できるだけ少ない人数で同じ内容の仕事をしてもらいたい

そう考えて,経営を改善させるのが,経営者の仕事です.

上記の対応策の中で,「給料を下げる」というのは,簡単ではありません.
「病院経営黒字化のため,来年から,給料20%減らすわ!」といえる経営者は少ないと思います.となると,他の2つの対応策である,長時間労働と少ない人数で仕事をしてもらうことになる.

当直明けに帰宅することができない
オンコール無報酬と主治医制(ワンオペ)をやめられない
は,いずれも経営改善の視点からすれば,「同一の給料で長時間労働させることで経営を黒字化する方法」を採用しているのです.この方法は,生産性が低くなり,勤務医は疲労するわりに,効率はどんどん悪くなります.


そして
ニコニコしながら,「労働者を守るのが経営者の仕事.働きやすい職場をつくるために皆で頑張ろう」と労働者を鼓舞しつつも,上述のようにして人件費を抑え,経営を黒字化させることが経営者の仕事です.

つまり
労働者 もっと働きやすい環境を!(給料を上げる,労働時間を少なくする)
経営者 もっと頑張って働け!(給料を下げる,労働時間を多くする)
というパワーバランスの結果,労働時間や報酬が,落ち着くべきところに落ち着きます.

このパワーバランスが,経営者側に極端に強く傾いた状況がブラックな職場です.

ですが,これは経営者が悪い!と単純に言えるものではありません.
特に,病院経営の場合,診療報酬は国が定めているため,「患者さんがたくさん受診する病院が黒字化する」といった単純な構造ではありません.

例えば,行列が絶えないラーメン屋であれば,
ラーメンを1杯500円から700円に値上げしよう.となりますが
医療の場合,国から「ラーメンは来年から全国共通450円で販売すること!」と一方的に決められてしまいます.日本は,少子高齢化社会に突入しており,医療費抑制の流れは今後ますます強くなるでしょう.

ここまでをまとめると
 病院の収益は,国にコントロールされている.
 少子高齢化のため,国は病院に十分な診療報酬を与えることができなくなる
 病院の経営者は,今以上に労働者には効率的に働いてもらわなければならない.
ここから導かれる結論は,「今後,ブラックな病院は確実に増加する」ということ



労働者としては,「ブラックな職場では働きたくない.」のが共通の希望ですよね.
そうかといって,「職場の働き方のルールを変えよう!」と提言したり,海外のように「ストライキ」を起こしたりしても,なかなか環境をかえることは難しいです.それは,会社(病院)の使命が収益を上げて黒字化することであり,労働者と経営者の利害が相反するものであるからです.

ここで,労働環境を(長期的にみて)改善できる方法が一つだけあります.
それは,労働者が「働く場所を主体的に選ぶ」ことです.
 ブラックな環境から労働者が去る(新規採用が減り,退職者が増える)
 そうなると,廃業するか,職場環境を大きく変えて生き残るかの二択になります.

勤務医にとって,今後重要になってくるのは
・経済的に自由をできるだけ早い段階で獲得すること
・(今の職場でなくても生き残っていけるように)日頃からオーナーシップを意識して,働き方にできるだけたくさんの選択肢をもつこと.

上記ができる医師は,「働く場所は自分が決める.嫌なことは嫌と言い,ブラックな職場からは一目散に撤退する」ことができる反面,働く選択肢がなく,主体性もなく,オーナーシップに欠ける医師は,「職場に文句をいいながらも,ブラックな環境に身を置くしかない状況が続く」のかもしれません.




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