2010年8月20日金曜日

頚椎椎間板ヘルニアになりました

実は8/13(金)に頚椎椎間板ヘルニアを発症し、今自宅療養中です。
脊椎外科医が椎間板ヘルニアになる事も珍しいので、報告してみます。

主訴(患者さんの訴え)
頚部痛、左上肢痛

現病歴(受診するまでの経過)
8/13(金)の昼に首というよりは、左の肩甲骨の奥に痛み(違和感)を感じた。
誘引は全くありませんでした。
(あえて言うなら、8/13は1日側わん症のレントゲン計測をしてたくらいでしょうか)
その日は、「首を寝違えたかな?」という程度でした。

8/14(土)痛みが楽になるどころか、左側に全く向けなくなりました。
さすがにおかしいと感じ、この日は1日家で寝てました。

8/14(土)の夜が痛みのピークでした。
この日は、「座ってても、寝てても痛い。寝返りも痛くてできない。」
このあたりから、左の肘辺りまでしびれがでてました。
脱力はありませんでした。

8/15(日)この日も、痛みは変わらず。

8/16(月)この状態じゃあ仕事にならんなあと思いながらも、外来があるので、病院に行きました。診療中も、横になったり、痛み止めを飲んだりしながらなんとか1日が終わりました。
院内の疼痛科(ペインクリニック)に行って、痛み止めを処方してもらいました。

8/17(火)このあたりから症状は少しずつ改善。横になってじっとしているとあまり痛みを感じなくなりました。でも、あいかわらず首は回らず、痛み止めが切れると、首と肩甲骨、左腕がだるくなるといった感じ。

この時点で、診療に支障がでてしまい、8/18(水)から自宅安静になりました。

おかげさまで、現在は痛みはほぼ消えてます。少し首が回りにくいですが、来週からは復帰できそうです。


ここから先は、普段患者さんを診察していた時と、今回の症状を比較してみました。

1)発症の仕方
違和感→しばらくして症状がピークになる。というのは、診察していて良くみかける症状です。

2)痛みの場所
頚椎のヘルニアで首が痛い、回らない。というのは、一般的ですね。
他にも、肩甲骨内側に痛みがでるというのが、実感できました(今回はむしろここが痛かった)。

3)横になると楽になるか?
楽になります。でも、急性期は、座ってても、寝てても痛かったです。

4)痛み止めは効くのか?
ロキソニン、ボルタレン座薬は、急性期の痛みにはあまり効きませんでした。
疼痛科で出してもらった、リン酸コデインは、良く効きました。
今まで、自分の外来で、リン酸コデインを出す機会は非常に少なかったのですが、今後は積極的に出すかも。海外のガイドラインでも、ヘルニアの痛みには、麻薬を出すという話を聞いたことがあります。

5)Spurlingテストは陽性か?
今回一番強調したい話題です。Spurlingテストは、頚椎の向きを変えて、上肢痛を誘発するテストとして、首の診察時にほぼ行う検査です。
でも、頚椎椎間板ヘルニアの急性期は、常に神経根が刺激されている状態です(常に陽性なわけです)。
とても首の向きを変えることなどできません。しかも、これを痛みがない他者(医者)が行ったら。。痛すぎる。
てか、禁忌に近いと思いました。

なので、私的に今後は、典型的な首の痛み、上肢の放散痛のある人にSpurlingテストはしません。

昔あるセミナーに参加したとき、経験豊富な脊椎専門の先生が、「私はSpurlingテストは、しません」とおっしゃられていました。その理由がやはり、このテスト自体が、痛みを悪化させる可能性があるからだとおっしゃられていました。

下肢のSLRテストと同様、痛みを誘発するテストは、「痛みを感じそうになったら、検査をやめますので、すぐに言って下さい」と言って、検査もゆーっくり行うのが良いと思いました。
患者さんは、痛みのでるポジションは身をもって知っているので、もうすぐ痛くなるところでストップと言います。

研修医の先生に指導する時も、「疼痛誘発テストは外来で1回だけ。回診の度にしてはだめ。」と教えてます。

最後に、今回、外来、病棟業務、手術など、多岐にわたり、関係者にご迷惑をおかけいたしました。
また、元気に復帰するのが、最大の恩返しになると信じて、今は療養に専念いたします。

8 件のコメント:

  1. 大変ですね、MRIもとられましたか?
    3年ほど前、僕も頚椎ヘルニア疑いでしたが、怖くてMRIはとれませんでした。
    今は少し右項部が痛いくらいです。
    回復しているみたいで幸いです。
    ちなみに当科では頚椎ヘルニアに対しても内視鏡で対処しています。カラーもいらずすぐに歩けますよ。もしご希望ならいつでもお知らせください<(_ _)>‏
    のりのり先生もますますお元気で幸いです。
    僕も今回の英語発表でインスパイヤーされて英語勉強中です。(いつまでもつのか・・・)英語論文はほんとハードルが高いですね、がんばります。

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  2. ゆうゆ先生
    先生も,頚椎ヘルニア経験者ですか?
    僕は,すぐにMRIとってもらいました.幸い脊髄には影響なく,神経根の近くにヘルニアらしきものがみえた程度です.

    上肢痛がきたときには,「肩あがらなくなったらどうしよう」とか「手術になったらどうしよう」と,ありきたりな反応してしまいました.当然先生の病院も頭の中に何回も登場しましたよ(笑)

    今は,日々回復してて,本当に健康のありがたさを実感してます.

    英語に関しては,療養中にいろいろ本を読んでみたのですが,1000時間というのが一つの壁のようです.
    英語のハードルは高く,時に木っ端みじんにされますが,ぼちぼちやっていくしか無いですね〜.頑張りましょう!

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  3. すぎ先生
    御自身がなられるとは。
    ぼくの前の病院の部長もCDHでした。ちなみに僕の兄貴分のS先生もUSA留学中に外側LDHになり、激痛で困ったそうです。
    お大事になさってください。

    英語はほんとにきびしいですね。ゆうゆ先生も含めお互いにがんばりましょう。

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  4. のりのり先生

    コメントありがとうございます.
    医療関係者にも,くび,こしのヘルニア経験者多いですよね.それだけ,ありふれた病気なんでしょうね.

    最新記事も英語に関する話題です!
    英語って,才能より,どれだけ長く勉強できるかの方が重要な気がしてます.

    読む,書く,聴く,しゃべるのいずれも,一定期間勉強しないと習得できないので,大変ですね.
    お互いがんばりましょう!

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  5. すぎ先生、こんにちは。
    実は私もCDH(疑い)時々経験者です。
    先生ほど強い症状は経験がありませんが、
    私の場合には左頚部から左背部のヒリヒリするような痛みと左肩の奥の方の痛みです。
    頚部後屈にて明らかな症状悪化があります。
    発症すると、2-3週間くらい治りません。
    手術以外の治療法がもっと何かないのかなあ、って思ってしまいます。
    神経痛によく効く薬とか・・・
    お互い体を大事にして、頑張りましょう!

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  6. まめ先生
    先生もヘルニア疑いですか?
    症状からすると,首の症状っぽいですね.
    うちの大学では,脊椎手術を続けていると首のヘルニアになりやすいという,もっぱらの噂があります(エビデンスはないです).
    でも,よくよく聞くと,首が悪い人って多いですよね.
    首の病気にならないアメリカ人がうらやましいです.

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  7. しばらくぶりです。お元気でしょうか?
    勉強や仕事も大切ですが、お体を大切になさって下さい。追伸 「リン酸コデイン」って、お薬は整形外科の医師にお願いしたら、処方していただけるお薬なのでしょうか?
    それは、腰椎すべり症にも効果あると思いますか?

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  8. keikochann04さん
    コメントありがとうございます。
    頑張って診療続けたいと思います!

    (このブログでは医療相談に関する回答は控えさせていただいております。ご了承下さい。すいません。)

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