2012年7月5日木曜日

整形外科とNPO法人


現在,岡山脊椎グループ(OSG)というNPO法人の運営にも関わっています.
その関係で,整形外科の先生から,
NPO法人に関する質問を受ける機会が増えました.

よく受ける質問についてわかる範囲でお答えします.

1NPO法人のメリットは?
メリットはいろいろあります.
まず,自分たちで行いたい活動を実現しやすいこと.

例えば,今年の3月に,OSGは,
「福島県で,脊椎手術に関するスキルをアップするための,ナーストレーニングコース」
を行いました.
脊椎手術は,使用する道具が多く,
脊椎手術に特化したナースのトレーニングを行いたい!
というドクターの呼びかけで実現しました.

このようなトレーニングで,看護師さんのスキルアップが期待でき,最終的には患者さんに安全な手術を提供できるという大きなメリットがあります.

しかし,資本主義の仕組みの中では,直接利益を生むわけではないので,実現が困難です.

そのような,大切だけど短期的に利益に結びつかない活動を行う際に,NPO法人はフットワークが軽く,良い仕組みだと思います.

2)活動に必要な資金を集めることができる.
先ほどのナーストレーニングなどを行う際には,お金が必要になります.
NPO法人は,会員から集める年会費以外に,企業や個人から寄付を集めることが可能です.

もし,脊椎手術で体の痛みが軽快した患者さんがいたとします.
金銭的に余裕があり,
「自分の持っているお金の一部を医学貢献に利用したい」
と考えたとします.
そういった場合,NPO法人に寄付すれば,それが,先ほどのようなナースをトレーニングする企画に還元され,最終的には患者さんに安全に手術を提供するという目的を達成するのに役立ちます.

個人的に今考えている事として
「脊椎外科医は,とても忙しく,医師が不足している.その状況を改善したい.」
日本の医療は,海外と比較すると,
患者さんにやさしいが,医師,看護師などには大変厳しい仕組み
といえます.
要するに,海外と比べると,人件費(特に勤務医)を抑える政策がとられています.

勤務医に対する待遇が,海外と比べて悪い状態が続いています.
勤務医は,当直,手術など過酷な仕事のわりに,給料が開業医さんより低い事は,日本の医療の大きな問題と考えます.
このまま行くと,手術を行う外科医(勤務医)が減り,手術をしない開業医さんが増えすぎる心配もあります.

そこで,NPO法人として集めた寄付を元に,脊椎外科医の負担を軽減するために,事務作業のサポートをする方法を考えています.

国が勤務医の待遇を改善するのを待つだけではなく,自分たちで状況を改善するためにできることがあるかもしれない.
それをNPO法人の活動で実現することができるかもしれません.

2NPO法人の運営って,大変なの?
これについては,
「結構大変です」
とお答えしています.
まず,法人を設立する際に,定款(ていかん)を作成する必要があります.
これは,医者にとっては,馴染みの少ないもので,作るのは結構大変.
それを,法務局に登記する必要があります.

また,1年に1回,総会を開く必要があったり,理事長や理事を選ぶ必要もあります.

また,お金の収支を,管理するためには,会計の知識のある秘書さんを探したり,税理士さんに収支を確認してもらう必要もあるでしょう.

NPO法人は,無税だから,お金のやりくりが楽なんでしょう?」
という質問を受けることもありますが,全然楽ではありません.
そもそも,NPO法人の活動にも,税金はかかります.
バイトを雇ったり,講師の先生に謝礼を渡す際も,源泉徴収を計算したりする必要がありますね.
(詳しい事は,省略させていただきます)

医師がNPO法人の運営を行うことに関しては,
「メリットも大変大きいけど,運営に本気で関わる人が必要です」
というのが本音ですね.

僕自身は,NPO法人の運営に関わることで,これまでに経験することのできなかった,登記をしたり,会計の知識を身につけたり,総会を開いたり,いろいろな経験ができたので,ラッキーと思っていますが(笑)

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