2017年5月14日日曜日

ハイパーインフレという津波に備える

本日は,2冊の本をご紹介.

日本経済入門 野口悠紀雄著

 以下引用
未曾有の高齢化が進んでいるため 、社会保障費が増加しています 。その大部分が 、税でなく国債によって賄われる状態が 、すでに 1 5年以上続いています 。その結果 、国債残高が累増しました 。一般会計が発行する国債の残高は 、税収 1 6年分という巨額のものです 。
国債残高が増えれば 、民間が消化しきれなくなり 、金利が高騰するはずです 。しかし 、現実にはそうしたことは生じていません 。それは 、日本銀行が著しい勢いで国債を買い上げているからです 。 
現在は 、金利がきわめて低い水準に抑えられているため 、一見したところ 、何も問題は起こっていないように見えます 。しかし 、この状態は 、いつまでも続けることができない不自然なものです 。 
「日銀が国債を買い上げたので 、日本の財政赤字の問題は解決された 」と言われることがあるのですが 、とんでもないことです 。問題は 「隠された 」だけなのです 。 
この道が行き着く先がインフレであることは 、歴史が示すところです 。 

資産防衛マニュアル 橘玲著

以下引用
財政破綻は最終的にはインフレに行きつきます 。これはきわめて単純な理屈で、インフレというのは国家にとって税金の一種であり 、歴史上 、巨額の財政赤字はほとんどが 「インフレ税 」によって清算されてきました 。
一般に 「インフレには株式と不動産が強い 」とされますが 、財政破綻が引き起こすインフレではこの法則は通用しません 。インフレで株価や地価が上昇するのは 、賃金の上昇と経済成長がともなうからです 。インフレ ・高金利にもかかわらず失業や不況が続くスタグフレーションでは 、株価も地価も下落することになります 。 

日本では,戦後制御不能のインフレにおちいったのは,オイルショックが最後で,私たちはインフレやスタグフレーションを想像することが難しい時代を生きています.

しかし,現状を考えると"今後インフレになるのか?"という質問は不適切で,"いつインフレになるのか?"というのが適切な質問となるでしょう.

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制御不能のインフレに陥ると
・変動金利のローン返済が不能になる
・公務員(多くの勤務医を含む)の所得が相対的に落ち込む
・適切なタイミングで自分の資産を守るためのアクションをおこせないと資産を失う

今回紹介した,橘玲さんの著書の冒頭に,日本がインフレからスタグフレーションへと突入した場合の,非常にリアルなストーリーが書かれています.一読をオススメいたします.

といっても,ハイパーインフレという大津波には,適切に対応できる手段があり,それをアクションに起こすための時間的猶予も十分にあるそうです.平時にこそ有事に備えて上記2冊にゆっくりと目を通しておくのも良いと思います.