2013年12月7日土曜日

手術リスクに対する考え方

私が専門にしている脊椎脊髄外科の領域は,
もともと神経を扱っている関係で,
リスクが高めの領域です.

さらに,大学病院に勤務していると,リスクの高い手術を
行う機会が増えてきます.

手術リスクというのは,基本的にゼロにすることができません.
例えば,術後創感染.
報告にもよりますが,だいたい0.5〜1%前後のリスクがあります.

術後感染そのものは,もちろん発生しない方がいいです.
でも,
「創感染のリスクがあるから,手術はできない.」
という人は少ないと思います.

それは,
そのリスクが発生した後も,感染をコントロールできる可能性が高いから.

ですが,
「この手術をすると,脊髄の麻痺が3〜5割の確率で悪くなる」
手術だと,どうでしょうか.
たぶん,
「そんな手術,うちじゃできないよ.」
となりますね.

でも,大学病院は,そのようなリスクの高い患者さんも,
なんとか治療しています.
最後の砦で,断られたら,患者さんが行く場所がなくなりますから.

そして,リスクの高い手術を引き受けて,なんとか成功させる.
するとさらにリスクの高い症例の相談を受けるようになります.

大学病院の宿命ですが,手術を続けるかぎり,また成功させ続けるかぎり,
リスクの高い症例はどんどん集まってくるわです.

そうすると,どんな名医であっても,
常勝しつづけることはできないですね.理論的に.

どの程度までのリスクを許容するか?

これは,本当に難しい問題ですね...
大学病院保険?みたいなのがあればいいのかもしれませんね.

仮に,100名手術をうけて,1名の方に重大な後遺症が残ったとします.
残りの99名は,リスクが高い手術だったけど,幸い合併症がなかった.

であるなら,100名の人は,手術の代金にプラスして,
もしものことがあった際の保険に加入してから手術を受ける.

実際,海外の保険では,加入している保険ごとにカバーされる手術の種類が
異なるとききます.

でも,そうすると
「安い保険にしか入れない人が,病気になったら,難易度の高い手術はうけられない」
という問題が生じます.

リスクをもつ人,リスクを持つ人を治す人,保険.
について考えた一日でした.

編集後記
先日のyoutube手術動画について,
s-pod先生のブログに続編があります.
興味のある先生はぜひ.