2017年8月24日木曜日

生存者バイアスについて

第二次世界大戦中のこと,ハンガリー出身の数学者であるエイブラハム・ウォールドは,アメリカ軍から,「爆撃機の生還率を改善するために、何ができるか」を尋ねられました.彼は,爆撃から帰還した機体の弾痕の位置を調べることで,防弾装甲の追加に効果的な部位を調べることにしました.すると,弾痕は機首,胴体,両翼に集中していることがわかりました.


(質問)皆様なら,生還率を上げるために,爆撃機のどの部位を補強するでしょうか?
私は迷わず,攻撃をうけた赤い部位を補強しようと思いました.


しかし,ウォールドは,機首、胴体、両翼に多数の弾を受けても、多くの爆撃機は生還している.そうした機体は,操縦席と尾翼への被弾は少ない.つまり,操縦席と尾翼に多く弾を受けた機体は戻ってこられなかった可能性が高いということです.ウォールドは,それらの部分に防弾装甲を追加を提案しました.

本当は,撃ち落とされた爆撃機も調べないと,正確な結論は出せません.
ともあれ,今回のようなケースを「生存者バイアス」と呼びます.

似たようなケースは,日常でいたるところに見受けられます.
・○○病院で手術を受けた人は,外来でみる限りでは,みんな調子悪そうだよ.
→調子が良い人は病院に来なくなるため,病院に来ている人だけをみても成績はわからない.

・ライザッ○のCMをみるとみんな減量に成功している.私も成功できる気がする.
→ライザッ○をディスるわけでは決してありませんが,成功した人しかCMには出られません笑 生存者バイアスの典型ですね.