2018年1月4日木曜日

勤務医が資産形成に苦労する理由

年末から年始にかけての記事で
・日本で多くの医師(勤務医)は,サラリーマンとして働いている
ことについて述べてきました.

サラリーマンが資産形成に苦労するのは,給与所得に関して大きな2つの壁があることが理由です.

壁1)病院との関係
病院は,保険診療から得られた収益の中から,医師を始めとしてスタッフの人件費を捻出します.人を雇う立場になって考えればわかりますが,基本的に給料というのは,「そんな給料なら辞めます」と言われないギリギリ下限の金額に落ち着きます.

そんな給料なら辞めます.という言葉の重さは,「医師の希少性」に裏付けされます.

人口に対して,"医師国家試験に合格するという参入障壁を突破した医師数" が希少な内は,言葉に重みがでます.
ですが,今後医療を必要とする高齢者の数が減少する,AIなどの技術の発展などの社会の変化に伴って,「医師の希少性」というキーワードがいつまで維持されるのか?は疑問です.

壁2)国との関係
国は,多額の借金を抱えており,なんとかして税収を増やそうとしています.
消費税を上げれば良いのですが,国民の不満を高めるような政策を続けていると再選できなくなるので,とりにくい.
高額所得者に対して,巧妙な仕組みで税金の負担を上げているのは,ご承知のとおり.
サラリーマンは,給与から,国が必要な税金を引いた残りが支給される仕組みであるため,今後も,国がお金に困り続けるかぎり,給与は上がりません.
医師の絶対数は少なく,政策に反映される可能性は限りなく小さい...


医師の給与は,「病院」と「国」という2つのゲートキーパーが決定します.
この2つの大きな壁があることで,必然的に勤務医の給与は頭打ちになります.