2018年8月6日月曜日

日本の急性期医療の現場に「寄付の文化」を育てる

昨日のエントリーにわりと反響が大きかったので,続きの記事を書いてみます.
昨日のブログ記事:世の中からブラックな職場をなくすことはできない.

昨日のブログで 
 病院の収益は,国にコントロールされている.
 少子高齢化のため,国は病院に十分な診療報酬を与えることができなくなる
 病院の経営者は,今以上に労働者には効率的に働いてもらわなければならない.
ここから導かれる結論は,「今後,ブラックな病院は確実に増加する」ということ

急性期病院に身を置く1人の医師として
・手術室でハイリスクな心臓手術をした後も,ICUで全身管理を行う心臓血管外科医
・病院に産科医師が数名しかおらず,ほぼ毎日のように病院に寝泊まりしている産科医師
・インフルエンザのシーズンに,夜間救急で一睡もできずに翌日の診療を行う内科医師
は,非常に身近な存在です.

一歩間違うと,過労死,うつ病につながるような状況ですが,勤務医の日常です.私も,研修医時代に,救急のPHSがなる幻聴はしょっちゅうありましたし,仮眠中も仕事をしている夢をよくみていました.

ただ,上述のとおり,今後,勤務医の労働環境が良くなるという明るいニュースは皆無で,なんらかの対応策を講じないといけません.


ここで,私が明るい未来に向けて,一つ提案したいこと.
それは,「日本の急性期病院の現場に寄付の文化を育てる」ということ.
アメリカには寄付の文化が根づいていますが,日本はまだまだ普及が足りないと思っています.

急性期病院で
・緊急の大動脈解離の手術を受け,九死に一生を得た
・合併症妊娠であったが,産科医師の手厚いフォローで安全に出産ができた
・インフルエンザ肺炎になって入院したが,迅速な対応のおかげで元気に職場復帰できた
このような小さな奇跡は,急性期病院では日常です.

そこで,無事退院される患者さんに,病院の寄付を取り扱う専門職員から,
「急性期医療を救うために寄付をいただけないでしょうか?」
と持ちかけてみるのです.

日本人のもつ寄付のイメージは,「大富豪が数千万円寄付する」とか「お金に余裕がある人がするもの」という考えがありますが,それは間違いです.

テクノロジーの進歩により
最近では,Polcaのように少額のお金をスマホで寄付することが可能になっています.

例えば
大動脈解離の患者が元気になって退院するときに
「○○病院の心臓血管外科医がこのままでは,過労で倒れてしまいそうです.医療クラークを充実させ,外科医に少しでも休息をとってもらえるような環境作りのために,寄付をお願いします.」と寄付を取り扱う病院の専門職員から,患者さんに提案してみる.

(これは,専門職を作るのが良いと思います.病院に広告を貼るのも有効ですが,やはり,厳しい現状を人から人にプレゼンする方が効果的)

それならクレジットカードで寄付するよ.スマホから寄付するよ.
といった感じで,少額でもいいので寄付を集める.
病院に寄付をするのは当たり前という文化を育てる.

資産家が,「そんなひどい状況なら,命を救ってくれた先生のためなら,500万円寄付しますよ.」と申し出てくれるケースもあると思います.
そこで,プールされた寄付金を使って,「心臓血管外科医全員に専属のクラークをつける」といった思い切った対応策を講じる.

寄付の文化を育てることができるかどうか?
Technologyの進歩を医療の現場に活かすことができるかどうか?
一つの打開策を提示してみました.




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