2018年5月31日木曜日

医療とフリーアクセスの深い問題

過去の記事:医療用のLINE 勤務先の病院にJoinが導入されました!

今年の4月から医療用のLINEともいえるJoin(ジョイン)を病院で導入してもらえることになりました.病院で撮像した画像(Xp,CT,MRI)のDICOMデータを,個人のスマホから確認できるというもの.

本当に画期的なサービスで,今後導入する病院は間違いないなく増えるでしょう.
病院側にとっては,メリットしかないサービスです.

他病院の先生達にも,Joinについてお話をする機会が時々あり,
「それ,いいね!」という流れになることが多いのですが,
放射線科の先生にお話したときの反応が,他の医師とは異なり,著しく悪かったことに少し驚きました.

でも,これは,よく考えると当然のことです.

夜間救急に「腹腔内出血の患者さんが来たので読影をお願いします」「脳梗塞でしょうか?読影をお願いします」といった内容の連絡が,夜間ひっきりなしにスマホに入るのがあたりまえになると,放射線科の先生はたまったものではありませんよね.おそらくコンサルトの頻度は整形外科の比ではなく,めちゃくちゃ頻回にコンサルトを受けることになります.365日当直しているような状態になってしまいまうことが容易に想像できます.

中規模の病院であっても,放射線科の先生は,病院に1〜3人ということもあり,夜間の読影を気軽にスマホでお願いします.というのは,勘弁してほしい.というのが本音でしょう.

その根底にあるのが,「フリーアクセス」の問題です.

日本では,「わからないことを質問したら,(報酬なしで)親切に教えてあげるのがあたりまえ.お金を払わないと教えてくれないってあの人ケチだよね.」というのが根底にあります.特に医療の世界では,「医は仁術」とう言葉に代表されるとおり,フリーアクセスに対する防衛がしにくい領域です.

でも,弁護士,税理士などの仕事を考えてみたらわかりますが,苦労して獲得した知識に対して,フリーアクセスを受けいれてしまうと,仕事として成立しなくなります.

スマホで夜間休日にも,専門診療科に気軽にフリーアクセスできるようになった.という事実は,今後の働き方を考える上で,大きなパラダイム・シフトになりそうです.



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