2012年1月2日月曜日

多施設合同研究と医療用クラウドデータベース


photography by Luc Viatour
年末年始に,論文を調べてみて思った事.

「海外の脊椎論文に関して,multicenter studyがめちゃめちゃ増えてる」

これは,想像していた以上のインパクトでした.
僕が所属する岡山大学でも,以前からmulticenter studyに対応するために,NPO法人作ったり,コツコツ準備していたつもり.

でも,すでに論文になっている施設は,その3〜5年以上前から準備していたんでしょうね(もっと前かも).
この,多施設合同研究への流れは,今後さらに加速しそうです.

そこで,個人的に考えているのが.
整形外科の先生が,multicenter studyを行う際に,簡単に導入できるクラウド上のデータベースを作る事.

以前は,multicenter studyって,かなり敷居が高いと思っていましたが,導入のポイントは,やはり,汎用性のあるデータベースのシステムを提供できるかどうか?
だと思うのです.

今,僕が注目しているのが,セールスフォースを利用した医療用クラウドデータベースの構築です.

過去の記事:クラウドを利用した医療データベースがいい感じ

その際に,重要な事が
1)セキュリティー
これは,最重要です.
以前,DropboxやSugarSyncといったオンラインストレージを利用して,その中のFilemakerにみんなで書き込めばいいのでは?
と考えていました.
でも,扱うデータが非常にデリケートなので,これはセキュリティー上の問題が大きそうです.
そのデータは,デスクトップにドラッグするだけで,簡単に取り出せる反面,流出のリスクも高くなります.

2)みんなが常に最新のデータにアクセスできること
1年毎に各病院で作成したFilemakerのデータを代表者が集めて,それを一つのデータに統合して,みんなにCDで配布.
という方法の弱点は,配布したCDに上書きしたデータを,もう一度統合することができなことです.
それと,各病院が入力したデータを集めて,統合して,配布するため,データにタイムラグが生じます.

この点において,セールスフォースのクラウドを利用すれば,常に最新のデータが利用できます.

3)ソフトのアップデートに関する問題
Filemakerがアップデートされるたびに,新しいソフトを購入しないといけません.
お金かかりますね.
クラウドの良さは,ソフトのアップデートが不要である点です.
アップデートは,セールスフォース側がしてくれるので,常に最新のシステムが使用できます.

4)新規参入しやすいこと
これ,非常に重要な点.
というのも,今後は,大学の垣根を越えた多施設合同研究が増えるだろうと思うのです.

特に,Facebookを利用するドクターが増えると,その中でやりとりをしている先生同士で,共通のデータベースを作ろう!
というのは,十分に予想される未来.
その際,使いやすくて魅力のあるデータベースを構築できれば,
「うちの施設も,参加したいんだけど?」
という流れになると思うのです.

そして,参入する施設が増えると,それだけデータベースのパワーが増します.
するとさらに,参入する施設が増えるという流れ.

この,新しく参加する施設を受け入れる点においても,クラウドのデータベースは,相性がかなり良さそう.
海外の施設との共同研究にも,威力を発揮しそうです.
その可能性は,かなり大きいと思っています.

大学の垣根をこえたデータベースという発想は,今までは実現が難しかったと思います.
でも,今までに無いということは,そこから生まれる新しいinnovationも多そうです.


最後に,
僕が予想している未来.
それは,Facebookなどで繋がった,同年代の高い志をもった人達が,クラウドのデータベースを使って,つながること.
そして,そのデータベースを元にして,大学の垣根をこえた研究が増えていくこと.
クラウドやSNSを利用して生まれた関係は,非常にフラットなものになるでしょう.
学閥などのしがらみは少なくなり,よりCreativeな研究が増えるといいですね.
そのためには,利用しやすいデータベースのシステム構築が大切だと思いました.

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