先日のエントリーについて,意外と反響が大きかったので続報です.
iBooksで本を作る
まず,今回Appleが開発したiBooks 2.0とiBooks authorについて説明すると
専門知識が無くても,iPad (iPhone)用のMulti-touch book(電子書籍)を無料で作る事ができる
ということです.
無料電子書籍作成アプリ「iBooks Author」で何ができるかまとめムービー
このニュースを聞いて,
「整形外科のレジデント向けの電子書籍」
が作れないだろうか?
と考えています.
iBooksとiBooks authorが持つ可能性について考えてみました.
1)動画や音声情報をもったテキストになること
これは,整形外科のテキストとしては超画期的なことです.
医学教育は,従来の紙のテキストで,それこそ何十年も行われてきたわけです.
しかし,整形外科領域では,他の科と大きく異なり
・脱臼を整復する手技
・手術中に骨折を整復するテクニック
といった,動画での説明が必要な事が多いのです.
この領域をカバーした教科書は,まさに全く新しいものになるでしょう.
その他にも
ACLが切れているかどうかを判定する徒手検査
頚髄症の患者さんの神経所見の取り方
など,動画で見る事で理解は深まります.
2)やる気次第で作れる
従来の紙の教科書を作る場合
出版社が,「作った本を実際にどれくらいの人が購入するか?」
といった判断を下します.
そして,その領域について詳しい人(多くは教授や名誉教授など)にテキストを作る依頼がはいります.
そこから,分担執筆という流れが一般的でしょう.
ですから,数人の医師が「自分たちの後輩のためにテキストを作りたい」
と思っても,実現は困難でした.
しかし,iBooks authorがあれば,やる気次第でテキストを作る事は可能になります.
しかも,「何冊以上売れないと困る」というノルマもありません.
新しいアイディアを,すぐに実行に移せるわけです.
運搬や在庫のコストがかからない点もメリットですね.
3)作った時点で電子書籍
日本では,電子書籍がなかなか普及しません.
アマゾンも,日本向けの電子書籍販売には,かなり苦労している様子.
紙の本が売れなくなる.という理由から電子書籍を気軽に購入するシステムは,まだまだ先の話.
購入した本を,裁断してからデジタルデータにするしかないのが現状です.
このような,出版業界に風穴をあけるのが,iBooks authorの発明でしょう.
なんせ,作った時点で電子書籍なわけですから.
紙の本を電子化するかどうか?といった議論をしなくてすむわけです.
iTunesの時と同じで,アップルが電子書籍のプラットフォームを完全にコントロールしそうですね.
4)英語で教科書を作れば,市場は国内にとどまらず,世界中で共有できる
英語で作ったテキストであれば,海外の人がダウンロードすることも可能ですね.
頚椎手術は,日本人がオピニオンリーダーであり,海外のドクターも興味を持っている領域
こういった手技を動画で解説したテキストであれば,海外でも需要がありそうですね.
5)無料で配布できる
今まで,無料の教科書を作るという考えは実現不可能でした.
でも,皆で作ったテキストを,無料で配布したら,いろんな人が読んでくれるかもしれませんね.
英語のテキストであれば,世界中の人が読んでくれるかもしれません.
やる気さえあれば,医師だけでテキストを作る事は可能だと思います.
でも,医学書を編集した事のある人に手伝ってもらった方が,得られるものが多そうです.
以前,Twitterと医療連携で,連載をした時も,編集者の方に,ずいぶん校正していただきました.
今後は,会社や大学とった枠にとらわれず,
「そのアイディア面白いね」と
感情を共感できる人達といっしょにクリエイティブな仕事をできたらいいなあ.
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