2017年7月30日日曜日

ベーシックインカムに関する本



貧困が引き起こす問題はたくさんあります
 子供の教育
 健康問題
 行政の対応が必要になりコストがかさむわりに成果が少ない
 犯罪・治安の悪化

現在世界中で,ベーシックインカムを導入することの是非が議論されています.
ベーシックインカムを簡単に説明すると
 生活するのに必要な最小限の現金を国民全員に審査なしで配る
というものです.

日本の生活保護と仕組みが似ていますが生活保護の場合
・受給するために厳密な審査が必要
これは,行政対応にコストがかかることと,役場で申請するだけの知識や体力がない人に対応できないという問題点があります

・最低賃金で働いている人達との逆転現象
生活保護を受給せずに最低賃金で働いている人たちからしたら,不公平感があります

・医療へのフリーアクセス
今後,ベーシックインカムに関する議論と同じくらい大切な問題ですが,病院受診にかかるコストをどう考えるか?という疑問もあります.現行の生活保護,救急車使用に代表されるフリーアクセスは将来的にはうまくいかない気がしています.
関連リンク:フリーアクセスは考えもの

しかし,日本で犯罪が少ないことの原因の一つとして,生活保護というシステムは有効に機能している気がします.

この本の中で,実験的にベーシック・インカムを導入した後に,お金を受け取った人たちに起こった変化について詳細なデータが述べられています.
実際には,
 もらったお金をお酒やギャンブルに浪費する人は少ない
 貰ったお金を元に,ビジネスを始める人が多い
 お金をもらった後も労働時間が極端にへることはない
 子供のIQが上がる(学校を作るよりも効果的だったようです)
といった概ね前向きな結果が得られているようです.

貧困というのは,「個人の責任や行動の結果なるもの」ではなく,「貧困そのものが問題である」と繰り返し協調されていました.確かに,今日,明日食べ物を買うことができない,明日から住む家がないという状況に置かれた状態では,冷静な思考というのはできないと思いますね.まずは貧困から抜け出して,その後にやるべきことを考える.というのが筋道でしょう.