2010年10月9日土曜日

ミラノ留学:ミラノのオペ室看護師さん

ボンジョールノ!

宿泊先のインターネットが時々つながらないので,不定期の更新になってます.
さて,今日はミラノのオペ室看護師さんの話題など.

ミラノに限りませんが,海外のオペ室に入るときは,器械出しの看護師さんに嫌われないようにしたいですね.
ドイツの時もそうでしたが,手術器具を置いてあるエリアは完全に看護師さんが管理しています.
なので,間違っても,勝手に手術器具を取ったり,戻したりしてはいけません.

勝手に手術台の器具をとると,教授でも怒られます.
僕のようなあやしいアジア人がそんな事したら,きっと恐ろしい事態になるでしょう.

しかし,例外があって,ミラノのDr.は,わざと怒られるような行動をとって,看護師さんを怒らせておいて,
その後に甘えて,「もう,しょうがないわねえ.」と言わせる高等テクニックを使っていますが.

それと,今日もLamartina先生不在のため,別の先生の手術を見学しました.
その先生はおそらく50歳くらいです.
印象的だったのが,「ここでは,ボスがリタイアしないと,執刀医になれないから,50歳くらいにならないとオペができないんだよ」と言われていたことです.

つまり,術者のポジションを得ようと思ったら,非常に厳しい競争に勝ち残り,かつ,ボスがリタイアする時期にならないと難しいんですね.


続きは専門的な話になります.
昨日は,eXtreme Lateral Interbody Fusion(XLIF)を初めて見学できました.
側臥位で,約4cm程の皮切から,Th12肋骨先端を経由して後腹膜腔にアプローチします.
専用のレトラクター,光源があり,小さな視野ですが椎間板の掻爬,ケージ挿入が可能です.
extreme lateralといいますが,基本的にはmini ALIFのテクニックに近いと思いました.
ただ,完全に側方から進入するので,そう呼ぶのでしょう.
非常に小さい視野から進入するので,合併症で注意するのは,腰神経損傷です.
そのため,両下肢から筋電図をとれるようにしておき,術中は,進入経路を電気刺激で神経が無い事を確認していました.

左右どちらからも進入可能です.
変性側弯で2椎間固定をするなら,凹側から進入すると,同一視野からアプローチしやすいそうです.
でも,ケージを挿入する椎間が狭いので入れにくいそうです.
また,この手技は,L4/5より遠位は難しいと説明してくれました.

XLIFの応用として,たとえば,L2/3,L3/4,L4/5の椎体間固定が必要としたら,まず,XLIFでL2/3,L3/4にケージを挿入しておき,腹臥位になって,L2からL5までPS固定.L4/5は除圧も含めてTLIF(PLIF)を行うなど.

また,ケージ挿入だけでは固定性が弱いので,腹臥位にして,経皮的にPSを挿入して固定していました.
今回の手術は,L2/3レベルのXLIF+経皮的PS挿入でしたが,体位変換を考えると,後方からTLIFした方が速いかなと思いました.
でも,XLIFのテクニック自体は,非常に勉強になりました.

最後の写真は,Duomoで撮影した写真です!

4 件のコメント:

  1. 術者が回ってこないのは世界共通なんでしょうか。もちろん和医大では若手は見てるだけです。
    ちなみに大学院の僕は、今週はずーっと手術場係(写真をとったり、透視係をしたり・・・こんな係なんてない大学もあるので一応説明)でした。
    チームラビットのみなさんはばりばりやっているみたいなのであせりますが、今は論文を書く時期とぐっと我慢です。。。
    イタリアのじっとメスを待っている?先生にもよろしくお伝えください。

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  2. ゆうゆ先生
    心中お察しいたします.
    個人的な話になりますが,私も,医師になって,1年2ヵ月たった時点で,小児の肢体不自由児施設に3年間働く事になりました.
    その病院では,手術が1週間に1件くらいしかなかったので,同期の先生と会うと,「みんないろんな手術しててすごいなあ」と感心したり,あせったりしてました.
    長期の留学をしたり,大学院に行ったりした時に,手術ができない時期は,ほんときついですよね.

    手術の少なかった3年間は,精神的にかなりきつかったのですが,地の底に沈んだ者にしかわからない経験もあるので,後から考えてみると感慨深いです.

    ゆうゆ先生も,今は,バネを思いっきり押さえている時期ですから,いずれ,大ブレイクする時がきっとくると思いますよ.

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  3. すぎ先生、こんにちは!
    ミラノDr.のオペ室Ns.に対する高等テクニックに脱帽_(._.)_
    でも、にわか仕込みで真似すると痛い目に合いそうですね(^^)

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  4. まめ先生
    コメントありがとうございます.

    イタリアの雰囲気の中では,結構いろんな事がチャレンジできそうですが,日本ではマネできないですよね〜

    私も,日本にいる時は,結構明るく振る舞っている方だと思うのですが,イタリアでは,全然,寡黙な日本人になりさがっております(笑)

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