2017年12月4日月曜日

医師のキャリア Part 2:勤務医がお金に困る理由(労働以外にお金を稼ぐ手段がない)

前回のエントリー
勤務医(特に専業主婦との組み合わせの場合)は,見かけ上の年収に対して,(所得税や社会保障費を差し引いた)生活費が少ないことを問題点としてあげました.

そこに
・マイホーム,自家用車のローン返済
・子供の教育費(塾,私立校の授業料)
などの負担がのしかかります.

すると
1)毎月もらった給料を全て使い切り,翌月の給料日をむかえるのが日常になってしまいます.さらに,それが経済的に安定していると勘違いするようになります.

本来であれば,給与の一部は天引きで貯蓄,資産運用に回すべきなのですが.
さらに,
2)ボーナスを利用して,ローン返済をする
3)お金がたりなくなったら,アルバイトをしてその場を乗り切る
上記1)2)3)のいずれかの習慣がある人は,危険信号が点滅していると思った方がよいでしょう.
はずかしながら,私も,過去には,上記の全てが揃っている時期がありました(汗)

医師のアルバイト(休日の外来,宿直など)は,手っ取り早くお金を得ることができる反面,年間の給与所得が上がるため,累進課税により所得税率もおし上げてしまいます.

勤務医にかぎらず,サラリーマンは
・所得をえるためには,「働いてお金を稼ぐ」という唯一の手段に依存している
ことも大きな問題点といえます.

私も過去には,
・お金を稼ぐために働くのはあたりまえでしょ.
と考えていました.
でも,世の中には,働かずにお金を稼ぐ方法は山ほどあります.
(不動産収入,金融資産投資 etc)

人に雇用されるのではなく,自分のビジネスを動かすために人に仕事をしてもらう.
労働で得た所得から天引きで貯金したお金を使って,株式や不動産を購入する.
そういった思考が,これから先は必須になってくると思います.

そして定年退職を迎えた勤務医は
・毎日病院に出勤して給料をもらうという安定した環境から,強制的に退場させられることで,労働で収入を得る手段を失う.
働かずに所得をえる手段が何もない(知識も経験もない)
という状態におちいります.

橘玲さんは,
老後は誰もが一人の投資家となる」という事実を強調しています.

定年するまでに,医師の仕事一筋で,投資家としてのスキルを,全て国にアウトソーシングしてしまった場合,老後は(国が運用した)年金だけにすがりつくことになります.
自分で,資産を運用する勉強をせず,国から貰える年金が少ないと文句を言うだけでは,状況を打開することは到底できません.

過去に納税した所得税が,年金に反映されるのであれば,まだ救いがありますが,そんな制度は過去にありませんし,今後も作られる可能性は限りなくゼロに近いでしょう.勤務医時代に,いくらたくさんお金を稼ぎ,たくさんの税金を収めたとしても.老後は,医師も,その他大勢の人たちと何もかわらない生活が待っています.

国は,積立NISAやiDeCo(確定拠出年金)という,制度を作りました.

これは,長期の積立投資に対して,税金を優遇する制度ですが,「これから先,日本国は,国民全員を年金で養うことは不可能になります.だから,若いうちから,各自の資産を自己責任で運用して,老後の年金を積立をしておくように」という強いメッセージなのです.