2017年12月14日木曜日

抗菌薬投与に伴う薬剤熱

現在勤務している病院では,
化膿性脊椎炎の治療に関わる機会が増えました.

幸い,優秀な感染症内科医と協議しながら治療をすすめているので,安心して治療を継続できています.

先日とある患者さん(化膿性脊椎炎)に対して,抗菌薬を3週間ほど投与した段階で,突然悪寒戦慄を伴う高熱が出現しました(この時点で炎症反応も増加).
もちろん,血液培養で起炎菌を同定した上で,適切な抗菌薬を投与していました.炎症反応,臨床所見も順調に改善していました.

ここで,私は,「感染症が悪化したのか?」と考えました.
ところが,発熱している時間を除くと,患者さんの全身状態はかなり良好です.
そこで,感染症内科の先生にコンサルトすると
「薬剤熱の可能性」を指摘されました.

その抗菌薬は,1日1回点滴していましたが,感染症内科の先生が,抗菌薬投与後に発熱している点を指摘してくれました.

点滴を,別の作用機序の内服に切り替えたとたん,発熱も収まり,炎症反応が再び低下しました.

発熱と炎症反応増加というキーワードで,感染の再燃か?と短絡的に考えてしまいましたが,内科の先生は,その一歩上をいかれていました.

発熱,炎症反応増加のタイミングで,点滴を内服に切り替えるのは,勇気が必要ですが,それを自信をもって勧めることのできる医師は,名医だなあ.と感じました.